MUSIC.

​【アルバム解説】

2009年に制作した1stアルバム『mind scape 心象風景』から8曲をセレクトしサウンドをリミックスしたスペシャル・エディション版になります。収録されている曲の音楽スタイルは(フォーク+ジャズ)✖️エレクトロニカ&アンビエントといったところでしょうか。もう少し詳しく解説するとしたら日本の民俗音楽(民謡やわらべ歌やお神楽)調なメロディーや形式にジャズ・ハーモニーが付けられ、音色はエレクトロニカ・サウンドでコラージュ手法を用いたアンビエントな作品も含まれるといった、実に多様なスタイルが融合したアルバムの仕上がりです。

 

その背景としてはこのアルバム制作に入る5年ほど前から産業技術総合研究所の光技術部門の客員研究員(色光と音の周波数機能の類似性)として、視覚と聴覚やいわゆる五官の働きについていろいろな角度から学ぶ研究会「五感フォーラム」にオブザーバーとして参加する機会を得ることができました。そのような研究会を通して「共感覚」という融合し合う感覚器官の相互作用について大変興味を持つことになります。

 

また本来の共感覚とは異なる多分に心理的なイメージの要素が強く働くと思われる作用に対しては「共感覚的」という名称をあたえ、このような感覚は意外に多くの人たちにもみられる現象ではないかと考えるようになりました。このアルバムのもう一つのコンセプトとしてはこのような共感覚的な要素を意識して取り入れた視覚的な「イメージの質感」というものを音や音色で表現してみたことにあります。

 

それから裏話となりますが通常のマルチ・レコーディングとは異なる方法で複数回録音を重ねることにもこのアルバムではチャレンジしてみました。その曲は私がリスペクトして止まないジャズ・ピアニスト、ビル・エバンスがオリジナルの『My Bell』です。通常は同期を取るためにテンポのクリック音を聞きながらレコーディングを進めるのですが、この方法では微妙なフレーズの伸縮性である「歌い方」を表現することがどうしてもむずかしくなります。そこで考えた録音方法は自分が本来持っているフレーズの呼吸感覚というものに絶対的な信頼をおき、あえてクリックは使わず最初にピアノからレコーディングを始め、そこへオーケスレーション・トラックのストリングスやフルートなどを自分のテンポ感を頼りに多重録音を重ねて行きました。微妙な音の出始めのタイミング合わせにはさすがに時間がかかりましたが、フレーズのリズムに自然な伸縮性が得られたことで十分に納得がいく作品となりました。

 

その他のアルバム秘話としてはこのアルバムの制作資金は私が秋田に暮らし青春時代を共に過ごした、音楽仲間のクラウド・ファンディングによるものであったと言うことです。友人たちが発起人になりアルバム制作に動いてくれたことからこのような思い出に残るCD作品が完成しました。

 

special thanks to

柳あさなさん、鈴木仁志さん、傳農寿さん、加藤卓哉さん、渡辺淳悦さん。

 

​※解説の続きはPCサイトでご覧ください。

 

MUSIC ANALYSE.

​【ポピュラー音楽のスタイル形成についての比較分析論】

​2012年より個人研究としてスタートさせたことがきっかけになりポピュラー音楽のスタイルがどのような流れで形成されてきたのか、時代性と地域性及び植民地支配を受けた国の宗教や、民族の混合性などから総合的に分析を進めてきました。そもそもポピュラー音楽と大衆音楽という名称については一般的に同義とされておりますが、この論の中では資本主義的な流通スタイルに沿って展開された方をポピュラー音楽と解釈し、一方大衆音楽とは民俗音楽として人々の生活により密着してきた音楽を指します。そして世界の歴史を振り返るとそこに見られることは植民地支配による支配する側に立った国や民族と、支配される側にあった先住民族や労働のために駆り出された奴隷たちのの存在でした。ご想像の通り新天地ではこれらの人々たちの音楽文化や宗教文化が新たに複合的に混合することになりました。端的に申し上げるとこのような文化同士が混合する比率、すなわち何がどれだけ混合したかのバランスが音楽形成の違いとなって表れていることがわかります。この論ではこのような世界の音楽形成について古代ギリシャ音楽やキリスト教会音楽、及びラテンヨーロッパの吟遊詩人の音楽やアイルランド、インディオやアフリカの伝統音楽などの様々な音楽を採譜し、歴史的背景や音楽の諸要素(形式、音階、和音、リズム、楽器)から分析を試みております。またテキストとしても毎年更新を重ね編纂を続けております。

​【音楽の構造学】

まず最初に音楽の構造学をポピュラー音楽の研究者としての立場から始めたそのきっかけからお話ししたいと思います。それはレヴィ・ストロースという人類学者が論じた『野生の思考』と言う原本をごく簡単に解説したテキストとの出会いからでした。原本が出てきた時代は1960年代と言われ世界の文化が少しずつ多様化を始めた頃の話でした。つまり時代の流れがそれまでの古い概念では対応することが出来ず、新しい思想や概念が求められていた時代であったようです。ですので『野生の思考』の中でレヴィ・ストロースが語った思想については多くの人たちに感銘を与えました。その後人類学以外の学問にもこの思想は大きな影響を与え、例えば言語学の分野においても「言語の生成論」などへと発展し現代においても議論を続けております。

さてこの『野生の思考』の中で私が面白いなと思ったことは次にあるシンプルな見解でした。それは「人間の思考プログラミングの構造には相関と対比、分類と変換が必ず見られる」という一文でした。この思想については現代では反論の立場をとる学者の意見もあるようですが、私にはこの至ってシンプルな思想構造に妙に勘が働いてしまったようです。直ぐにこの構造論は音楽においても必ず適応することのように推測しました。私が学生時代に専門学校で学んだジャズでは即興的にフレーズを組み立てるアドリブが重要な表現要素となります。ですのでレッスンの中では当然のように定型化されたフレーズの習得に主な時間を割くことになるのですが、どうしても借りてきたフレーズの連結に終始する点が長年の疑問としてはありました。従来の方法以外で一から自分らしい自分のフレーズを作る方法はないものかと考えておりました。そしてある日それは旋律やフレーズというものの「構造」が全くわかっていないからなのだと言う結論に達したのでした。ここでの音楽の構造学的なアプローチとは言語の生成においても旋律の生成においても「相関と対比」をまずは意識して連結することでそのフレーズが言語のようにつながりを保って展開出来るようになることを試してみます。またこの対比の作り方にはその人なりの独自なベクトルが働くため、その対比の作り方にその人の個性が現れるものと考えられます。ここでは旋律の要素だけを取り上げて話を進めてきましたが、和音や和声の世界ではまさしく「分類と変換」及び類推によって機能が成立していることが確認できると思います。さて次に添付の写真について簡単に説明します。音楽の構造学で使用する3つの音の動き方の5パターンを示したものが左上の写真です。このパターンが右上の写真のように相関ー相関ー対比と構造を作る事で音と音がうまく関連して聴こえ、私たちはメロディーとして認知されるように考えられます。そして下の写真は短いフレーズ同士が連結する場合の方法を示しており、同じ音が重なる(左下)場合は「コンジャンクト」、連続する(右下)場合には「ディスジャンクト」といいこの名称については音階の形成と同様になります。現在このようなコンセプトを用いてレッスン等では試作や改訂を重ねております。

MEDIA ART.    Color Light➔Sound

Spectrum Harmony

まず開発したメディア・ソフトのコンセプトについて簡単にご説明いたします。​これは色光の周波数を音へと変換したシンプルなものです。ですので基本的にはモノトーンについては無音と設定しております。しかし一見モノトーンに見える場合にも微量に色光が混入しているとそこから光を検知してサウンドを出力するようになります。

【コンセプト】

  1. 光には波長がありそれは振動している。そしてそこから周波数が求められる。

  2. 光の周波数を求めた複数の解析データの中から最も詳細に調べていたケリーのデータを採用する。

  3. 分析結果として光の周波数と音の周波数に類似性が見られた。そしてその性質に互いに共通性があるものと類推した。

  4. 補色の関係にある赤と緑、橙と青、黄色と紫の周波数比は音が共鳴する比率と近似値であることを発見する。

  5. ​このことから色光の補色関係はハーモニーを作り、それは音でのハーモニー形成と同様である事に注目して色光のハーモニーを音のハーモニーへ変換するメディア・ソフト『Spectrum Harmony』が開発されました。

BRICOLAGE FREE SESSION.

2018年2月28日江古田Liven in Buddyで行われた『ワークショップ+ブリコラージュ・フリーセッション』のダイジェスト版の映像です。こちらのセッションは通常のセッションとは異なるコンセプトで開催しました。それはジャンルやレベルのボーダーラインをこえて、簡単なメロディーやコード・パターンや朗読や映像の提示(モチーフ)から自由に音を重ねてみんなで音楽を作ってみようというライブセッションの在り方です。当然やってみなければどうなるのかがわからない高いリスクがありますのでいやが上にも参加者の感性は研ぎ澄まされることになります。またこのような感覚が優先されるセッションを通して音楽が本来持つプリミティヴな要素や言語に変わるような伝達手段のルール性などにも目が向けられるように思います。例えるならばこの実験的なセッションに参加する演奏者はみんな「音楽の冒険者」といえるでしょう。これからもこのセッションは随時開催して行きますのでたくさんのご参加をお待ちしております。

 

​ポピュラー音楽形成についての比較分析小論 2019.5.1 改訂版

 

 アメリカから世界へと発信されたポピュラー音楽形成をテーマに、それぞれの音楽スタイルを比較分析しながら考察をまとめております。こちらはテキストの巻末に掲載予定している小論文になります。

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